806 人が「これはがわがものである」と考える物、ーそれは(その人の)死によって失われる。われに従う人は、賢明にこの理(ことわり)を知って、わがものという観念に屈してははらない。
人がわがものと考えるものそれは、一時的なものである。この世は無常であるから、人が死ねば全てが失われる。人が何かを掴めば、人はその想いによって無常の苦の世界へ生まれてくるのであるから、何かを掴むことは苦である。修行者は、それを知って、何かを掴みたいと言う、迷わせる想いを捨て去って、何ものも掴むこともなく、全てを手放して、遂には彼の岸へと到達するのである。