スッタニパータ suttanipata

スッタニパータは、お釈迦様が実際にお話しされたことばです。

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2017年

スッタニパータ 学生ウパシーヴァの質問1070の解説

1069 ウパシーヴァさんがたずねた。「シャカ族の方よ。わたくしは。独りで他のものにたよることなくして大きな煩悩の激流を渡ることはできません。わたくしがたよってこの激流をわたり得る〈よりどころ〉をお説きください。あまねく見る方よ。」

 

 

 

1070 師(ブッダ)は言われた、「ウパシーヴァよ。よく気をつけて、無所有をめざしつつ、『何も存在しない』と思うことによって、煩悩(ぼんのう)の激流を渡れ。諸々の欲望を捨てて、諸々の疑惑を離れ、妄執の消滅を昼夜に観ぜよ。」

 

 

 

師(ブッダ)は言われた、「ウパシーヴァよ。自らの反応の仕方によく気をつけて、無所有をめざしつつ、『何も存在しない』と思うこと、すなわちこの世は変化(無常)の世界であり、ものごとは、常住ではなく空であると知って、煩悩(ぼんのう)の激流を渡れ。人間的思考の運動を制することによって諸々の欲望を捨てて、五智に繋がり、諸々の疑惑を離れ、妄執の消滅を昼夜に観ぜよ。」

 

スッタニパータ 学生ドータカの質問1068の解説

1067 「偉大な仙人さま。わたくしはその最上の安らぎを受けて歓喜します。それを知ってよく気をつけて行い、世の中の執著を乗り超えましょう。」

 

 

1068 師は答えた、「ドータカよ。上と下と横と中央とにおいてそなたが気づいてよく知っているものは何であろうと、ーそれは世の中における執著の対象であると知って、移りかわる生存への妄執をいだいてはならない」と。

 

 

師は答えた、「ドータカよ。上と下と横と中央とにおいてそなたが気づいてよく知っているものは何であろうと、その対象に対しての自らの反応の仕方、すなわち人間的思考の分別(快⇔不快)する反応を制止しーそれは世の中における執著の対象であると知って、この無常であり変化し移り変わるこの苦の生存への妄執をいだいてはならない」と。

スッタニパータ 学生ドータカの質問1066の解説

1065 バラモンさま。慈悲(じひ)を垂(た)れて、(この世の苦悩から)遠ざかり離れる理法を教えてください。わたくしはそれを認識したいのです。わたくしは、虚空(こくう)のように、乱され濁ることなしに、この世において静まり、依りすがることなく行いましょう。」

 

 

 

1066 師は言われた、「ドータカよ。伝承によるのではない、まのあたり体得されるこの安らぎを、そなたに説き明かすであろう。それを知ってよく気をつけて行い、世の中の執著(しゅうじゃく)を乗り超えよ。」

 

 

師は言われた、「ドータカよ。伝承によるのではない、まのあたり体得されるこの人間的思考を制止することによって得られる安らぎを、そなたに説き明かすであろう。それを知って、自らの思考の運動によく気をつけて制止する修行を行い、世の中の執著(しゅうじゃく)を乗り超えよ。」

 

スッタニパータ 学生ドータカの質問1064の解説

1063 「わたくしは、神々と人間との世界において何ものも所有せずにふるまうバラモンを見ます。あまねく見る方(かた)よ。わたくしはあなたを礼拝いたします。シャカ族の方(かた)よ。わたくしを諸々の疑惑から解き放ちたまえ。」

 

 

1064 「ドータカよ。わたくしは世間におけるいかなる疑惑者をも解脱(げだつ)させ得ないだろう。ただそなたが最上の真理を知るならば、それによって、そなたはこの煩悩(ぼんのう)の激流を渡るであろう。」

 

 

 

ドータカよ。わたくしは世間におけるいかなる疑惑者すなわち人間的思考の運動を制止することを怠る者をも解脱(げだつ)させ得ないだろう。ただそなたが人間的思考の運動を制して中道を歩み最上の真理を知るならば、それによって、そなたはこの煩悩(ぼんのう)の激流を渡るであろう。

 

スッタニパータ 学生ドータカの質問1062の解説

1061 ドータカさんがたずねた、「先生!わたくしはあなたにおたずねします。このことをわたくしに説いてください。偉大な仙人さま。わたくしはあなたのおことばを頂きたいのです。あなたのお声を聞いて、自分の安らぎ(ニルヴァーナ)を学びましょう。」

 

 

1062 師(ブッダ)が答えた、「ドータカよ。では、この世において賢明であり、よく気をつけて、熱心につとめよ。この(わたくしの口)から出る声を聞いて、自己の安らぎを学べ。」

 

 

この世において、何が人間的思考なのか?すなわち両極端の運動を知りつくして、自らの反応の仕方によく気をつけて、自らの運動を制することに熱心に努めよ。その中道である安らかな境地へ至り五智へ繋がって自己の安らぎを学べ。その人間的思考の運動を制すること、それこそが安らぎなのである。

スッタニパータ 学生メッタグーの質問1060の解説

1060 またかの人はこの世では悟った人であり、ヴェーダの達人であり、種々の生存に対するこの執著を捨てて、妄執を離れ、苦悩なく、望むことがない。『かれは生と老衰とを乗り超えた』とわたくしは説く。」

 

 

またかの人はこの世では悟った人であり、ヴェーダ、修行の達人であり、種々の生存状態すなわち、王族であったり、金持ちであったり、バラモン階級に生まれたいという執著をも捨てて、この無常の世における失われるものに対する妄執を離れ、理法を知りつくし苦悩なく、人間的思考の運動による両極端を望むことがない。全ての人間的思考の運動を制した『かれは生と老衰とを乗り超えた』とわたくしは説く。

 

スッタニパータ 学生メッタグーの質問1059の解説

1057 「偉大な仙人のこのことばを聞いて、わたくしは喜びます。ゴータマ(ブッダ)さま。煩悩の要素のない境地がよく説き明かされました。たしかに先生は苦しみを捨てられたのです。あなたはこの理法をあるがままに知っておられるのです。1058 聖者さま。あなたが懇切に教えみちびかれた人々もまた今や苦しみを捨てるでしょう。竜よ。では、わたくしは、あなたの近くに来て礼拝しましょう。先生!どうか、わたくしをも懇切に教えみちびいてください。」

 

 

1059 「何ものをも所有せず、欲の生存に執著しないバラモン・ヴェーダの達人であるとそなたが知った人、ーかれは確かにこの煩悩の激流をわたった。かれは彼岸(ひがん)に達して、心の荒(すさ)びなく、疑惑もない。

 

 

 

人間的思考を制止して、所有欲を離れ、何ものをも所有せず、想いによって欲の生存に執著しないバラモン・ヴェーダ、修行の達人であるとそなたが知った人、ーかれは確かに人間的思考の運動を完全に制止して、この煩悩の激流をわたった。かれは彼岸(ひがん)に達して、心の荒(すさ)びすなわち人間的思考の運動による動揺もなく、理法を知り尽くして疑惑もない。

 

 

スッタニパータ 学生メッタグーの質問1056の解説

1056 このようにしていて、よく気をつけ、怠ることなく行う修行者は、わがものとみなして固執したものを捨て、生や老衰や憂(うれ)いや悲しみをも捨てて、この世で智者となって、苦しみを捨てるであろう。」

 

 

このようにしていて、自らの人間的思考の運動による反応の仕方によく気をつけ、怠ることなく中道を目指す修行を行う修行者は、過去の人間的思考の運動によって、わがものとみなして固執したものを捨て、また、生まれてきたいと言う想いすなわち生や老衰や無常の世界が生み出す憂(うれ)いや悲しみをも捨てて、この世で理法を知り智者となって、苦しみを捨てるであろう。

 

 

スッタニパータ 学生メッタグーの質問1055の解説

1054 「偉大な仙人さま。わたくしはその最上の理法を受けて歓喜します。その理法を知って、よく気をつけて行い、世間の執著を乗り超えるでしょう。」

 

 

1055 師が答えた、「メッタグーよ。上と下と横と中央とにおいて、そなたが気づいてよく知っているものは何であろうと、それらに対する喜びと偏執と識別とを除き去って、変化する生存状態のうちにとどまるな。

 

 

 

上と下と横と中央とにおいて、そなたが気づいてよく知っているものは何であろうと、それらに対する人間的思考の運動(快⇔不快)を制止せよ。

それらに対する人間的思考の運動から生ずるところの喜びと偏った執着、快、不快の2つに分けようとする識別とを除き去って、変化するこの無常の生存状態のうちにとどまるな。

 

 

 

スッタニパータ 学生メッタグーの質問1053の解説

1052 「われらがあなたにおたずねしましたことを、あなたはわれらに説き明かしてくださいました。あなたに他のことをおたずねしますが、そうかそれを説いてください。どのようにしたならば、諸々の賢者は煩悩の激流、生と老衰、憂いと悲しみとを乗り超えるのですか?聖者さま。どうかそれをわたくしに説き明かしてください。あなたはこの法則をあるがままに知っておられるからです。」

 

 

 

1053 師が答えた、「メッタグーよ。伝承によるのではなくて、いま眼(ま)のあたり体得されるこの理法を、わたしはそなたに説(と)き明(あか)かすであろう。その理法を知って、よく気をつけて行い、世間の執著を乗り超えよ。

 

 

伝承によるのではなく、私が実際に修行によって体得したこの理法をわたしはそなたに説(と)き明(あか)かすであろう。その理法を知って、よく自らの人間的思考の運動に気をつけて行い、世間の執著を乗り超えよ。諸々の賢者は、人間的思考の運動による反応の仕方を見極め制することによって煩悩の激流を渡り、執着を捨て去って生と老衰を乗り越え、理を知り憂いと悲しみを乗り超えたのである。