1075 「滅びてしまったその人は存在しないのでしょうか?或いはまた常住であって、そこなわれないのでしょうか?聖者さま。どうかそれをわたくしに説明してください。あなたはこの理法をあるがままに知っておられるからです。」
1076 師は答えた、「ウパシーヴァよ。滅びてしまった者には、それを測(はか)る基準が存在しない。かれを、ああだ、こうだと論ずるよすがが、かれには存在しない。あらゆることがらがすっかり絶やされたとき、あらゆる論議の道はすっかり絶えてしまったのである。」
人間的思考を完全に制止し、あらゆる執着の種を絶やしてしまった者には、もはや転生の素因を測る基準が存在しない。かれを論ずる余地は、もはや残されてなく、あらゆる転生の素因がすっかり絶やされたとき、かれを生まれさせる論議の道は絶えて、もはやこの無常の世には、戻らない存在となったのである。
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