816 かつては独りで暮らしていたのに、のちに淫欲の交わりに耽る人は、車が道からはずれたようなものである。世の人々はかれを『卑しい』と呼び、また『凡夫』と呼ぶ。
かつては、人間的思考の運動に気をつける修行を心がけていたのに、のちに淫欲の交わりに耽る人は、車が道からはずれたのと同様に、修行者が道からはずれたようなものである。苦から遠ざかる修行を忘れ、苦に近づくかれをみて、世の中の人々はかれを『卑しい』と呼び、また『凡夫』と呼ぶ。かれは人間的思考の修行をしていないことに等しく、かれの心は激流に渦巻いている。かれの心は人間的思考の運動により不安定になり、ある時は、浮かれ、ある時は沈む。その道理を知って修行者は、淫欲の交わりに耽ってはならない。自らを制した修行者の心は安穏に満ち、もはや何かを求めて心がうろつく事はない。
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