810 遠ざかり退(しりぞ)いて行ずる修行者は、独り離れた座所に親しみ近づく。迷いの生存の領域のうちに自己を現さないのが、かれにふさわしいことであるといわれる。
人々は、自らの周りを人間的思考の運動によって分別し、自らの好みにもとづいた執着の対象で自らを取り囲む。人間的思考の運動を制し、遠ざかり退(しりぞ)いて行ずる修行者は、執着の対象から独り離れた座所に親しみ近づく。執着の対象に満ちあふれている迷いの生存の領域すなわち人間的思考の運動による煩悩の激流が渦巻く領域に自己を現さないのが、かれにふさわしいことであるといわれる。
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