885 みずから真理に達した人であると自称して語る論者たちは、何故に種々異なった真理を説くのであろうか?かれらは多くの種々異なった真理を(他人から)聞いたのであるか?あるいはまたかれらは自分の思索に従っているのであろうか?
886 世の中には、多くの異なった真理が永久に存在しているのではない。ただ永久のものだと想像しているだけである。かれらは、諸々の偏見にもとづいて思索考究を行って、「(わが説は)真理である」「(他人の説は)虚妄である」と二つのことを説いているのである。
人間的思考の運動(快⇔不快)が止められない偏った見方で世の中を観たとしても真理だと思い込んでいるだけなのである。かれらは、一方的な見方によっ自らが真理だと思い込んだ見え方を掴む。そうしては、自分で自分に惚れ込み諸々の偏見にもとづいて思索考究を行って、「わが説は真理である」「他人の説は虚妄である」と二つの人間的思考の運動(真理⇔虚妄)に陥ってしまう。人間的思考の運動を止めて観察することによってのみ真理を観るのであるから、本末転倒である。
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