773 欲求にもとづいて生存の快楽にとらわれている人々は、解脱しがたい。他人が解脱させてくれるのではないからである。かれらは未来をも過去をも顧慮(こりょ)しながら、これらの(目の前の)欲望または過去の欲望を貪(むさぼ)る。
実に人間は、貪りの連続である。それは、過去を思い出しては、思考が動き、未来を考えては、また思考が動く、あるいは、目の前の出来事に対しても思考が動き、その思考を止めないかぎりには、真理を見ることができないからである。それを知って聖者は、自らの思考を制して、現象をあるがままに見る。そうして過去を捨て去り、未来を想うこともなく世の中を遍歴し遂には、真理を視たのである。0
コメントを残す