866 「さて世の中で欲望は何にもとづて起るのですか?また(形而上学的(けいじじょうがくてき)な)断定は何から起るのですか?怒りと虚言と疑惑と及び(道の人)(沙門(しゃもん))の説いた諸々のことがらは、何から起るのですか?」
867 「世の中で〈快〉〈不快〉と称するものに依って、欲望が起る。諸々の物質的存在には生起と消滅とのあることを見て、世の中の人は(外的な事物にとらわれた)断定を下す。
人間的思考の運動による〈快〉〈不快〉と称するものに依って、欲望が起る。諸々の物質的存在には生起と消滅とのあることを見て、世の中の人は、変化しないものが生起と消滅を繰り返していると断定を下すが、この無常の世において変化しないものは存在しない。それは人の想いであり、苦しみである。人はこの無常の世において、好むものは不変を望み、好まないものに対しては変化を望む。こうして、感覚的感受に影響されて、運動をしているのである。その運動の波は、激流となって襲いかかる。そして人はその激流によっておぼれかかっているのである。それを知って、聖者は、その運動から離れ、その運動をとめる。その寂静の境地から智慧が生まれのである。
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