769 ひとが、田畑、宅地、黄金、牛馬、奴婢(ぬひ)、僱人(やといにん)、婦女、親族、その他いろいろの欲望を貪り求めると、
770 無力のように見えるもの(諸々の煩悩)がかれにうち勝ち危い災難がかれをふみにじる。それ故に苦しみがかれにつき従う。あたかも壊(やぶ)れた船に水が浸入するように。
ひとが、田畑、宅地、黄金、牛馬、奴婢(ぬひ)、僱人(やといにん)、婦女、親族、その他いろいろの欲望を貪り求めると、それを手に入れたとしても、この無常の世では運動をするので、無力のように見えるもの(諸々の煩悩)がかれにうち勝ち危い災難(かれが考える全く逆のもの)がかれをふみにじる。それ故に苦しみがかれにつき従う。あたかも壊(やぶ)れた船に水が浸入するように。それを知って、修行者は、人間的思考の運動による好き嫌いに分けた運動を制し、人間的思考の運動を制し苦を回避せよ。例え好きなものを得たとしても、それは運動をするので、全く逆のもの嫌いがかれについてまわるのである。故に人間的思考の運動による喜びを捨てることが肝要である。
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