1116 モーガラージャさんがたずねた、「わたくしはかつてシャカ族の方に二度おたずねしましたが、眼(まなこ)ある方(釈尊)はわたくしに説明してくださいませんでした。しかし『神仙(釈尊)は第三回目には説明してくださる』とわたくしは聞いております。
1117 この世の人々も、かの世の人々も、神々と、梵天(ぼんてん)の世界の者どもも、誉(ほま)れあるあなたゴーダマ(ブッダ)の見解を知ってはいません。
1118 このように絶妙な見者(みて)におたずねしようとしてここに来ました。どのように世間を観察する人を、死王は見ることがないのですか?」
1119 (ブッダが答えた)、「つねによく気をつけ、自我に固執する見解をうち破って、世界を空(くう)なりと観ぜよ。そうすれば死を乗り超えることができるであろう。このように世界を観ずる人を、〈死の王〉は見ることがない。」
つねに自らの人間的思考の運動による反応の仕方によく気をつけ、自我すなわち自らの反応の仕方によるこだわりに強く執着する気持ちをうち破って、この世界の無常を知り、世界を空(くう)なりと観ぜよ。人間的思考の運動による望みは、かなったとしても一時的なものである。それは運動をするので、反対のものが目の前に現れてくるのであるから、その運動を制するのだ。そうして、この世の無常を悟り空を観じる。そうすれば死を乗り超えることができるであろう。このように世界を観ずる人を、死の王は見ることがない。解脱してもうこの無常の世に生まれてくることは無いのである。
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