1073 「あまねく見る方(かた)よ。もしもかれがそこから退きあともどりしないで多年そこにとどまるならば、かれはそこで解脱して、清涼(しょうりょう)となるのでしょうか?またそのような人の識別作用は(あとまで)存在するのでしょうか?」
1074 師が答えた、「ウパシーヴァよ。たとえば強風に吹き飛ばされた火炎は滅びてしまって(火としては)数えられないように、そのように聖者は名称と身体から解脱して滅びてしまって、(存在する者としては)数えられないのである。」
師が答えた、「ウパシーヴァよ。たとえば強風に吹き飛ばされた火炎は滅びてしまって火としては数えられないように、そのように聖者は、この無常の世に存在する名称と身体(形)から解脱して滅びてしまって、存在する者としては数えられないのである。」人は、人間的思考の運動によってものごとを分け、それを取る。無常の世では必ず、いつかはは失われるのであるから、また想いによって生まれるのである。その想いを完全に制止した者、それが聖者と呼ばれる。
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