1069 ウパシーヴァさんがたずねた。「シャカ族の方よ。わたくしは。独りで他のものにたよることなくして大きな煩悩の激流を渡ることはできません。わたくしがたよってこの激流をわたり得る〈よりどころ〉をお説きください。あまねく見る方よ。」
1070 師(ブッダ)は言われた、「ウパシーヴァよ。よく気をつけて、無所有をめざしつつ、『何も存在しない』と思うことによって、煩悩(ぼんのう)の激流を渡れ。諸々の欲望を捨てて、諸々の疑惑を離れ、妄執の消滅を昼夜に観ぜよ。」
師(ブッダ)は言われた、「ウパシーヴァよ。自らの反応の仕方によく気をつけて、無所有をめざしつつ、『何も存在しない』と思うこと、すなわちこの世は変化(無常)の世界であり、ものごとは、常住ではなく空であると知って、煩悩(ぼんのう)の激流を渡れ。人間的思考の運動を制することによって諸々の欲望を捨てて、五智に繋がり、諸々の疑惑を離れ、妄執の消滅を昼夜に観ぜよ。」
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