913 過去の汚れを捨てて、新しい汚れをつくることなく、欲におもむかず、執着して論ずることもない。賢者は諸々の偏見を離脱して、世の中に汚されることなく、自分を責めることもない。
人間には、いくつかの汚れが存在する。それは、人間的思考で分別した汚れであり、煩悩である。過去において、人間的思考の運動により、分別した、記憶を蓄積している。それによってすぐさま快、不快に分け、執着をするのである。そして、新しく目の前に現れたものに対しても、人間的思考の運動により分別し、その分別した欲にもとづいて、執着して論ずるのである。賢者は、過去に分別した記憶を捨て、それにとらわれることなく、新しく分別することもない。分けないので、欲におもむかず、執着して論ずることもないのである。諸々の人間的思考の運動がつくる偏った見方を離脱して、世の中における人間的思考の運動が作り上げた常識に汚されることもなく、自分を責めるような過ちを犯すこともない。
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