871 「世の中で感官による接触は何にもとづいて起るのですか?また所有欲は何から起るのですか?何ものが存在しないときに、〈わがもの〉という我執が存在しないのですか?何ものが消滅したときに、感官による接触がはたらかないのですか?」
872 「名称と形態とに依って感官による接触が起る。諸々の所有欲は欲求を縁として起る。欲求がないときには、〈わがもの〉という我執も存在しない。形態が消滅したときには〈感官による接触〉ははたらかない。」
この物質世界において、全ての存在物には、名称と形態とがある。それらを、感受器官により接触する。その時の感受のしかたが人間的思考の運動をしていた場合、快と不快という両極端に分け欲求が生じ、所有欲が生じるのである。両極端に分ける反応を制止し欲求がないときは、わがものという我執も存在しない。我執が存在しなくなると形態が消滅して感覚による接触は働かない。このように解脱していくのである。それを知って修行者は、自らの感覚器官から入る情報への反応の仕方に常に気をつけ、両極端に反応することなく中道を歩むのだ。
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