875 「われらがあなたにおたずねしたことを、あなたはわれわれに説き明かしてくださいました。われらは別のことをあなたにおたずねしましょう。どうか、それを説いてください。ーこの世における或る賢者たちは、『この状態だけが、霊(たましい)の最上の清浄の境地である』とわれらに語ります。しかしまた、それよりも以上に、『他の(清浄の境地)がある』と説く人々もいるのでしょうか?」
876 「この世において或る賢者たちは、『霊の最上の清浄の境地はこれだけのものである』と語る。さらにかれらのうちの或る人々は断滅を説き、(精神も肉体も)残りなく消滅することのうちに(最上の清浄の境地がある)と巧(たく)みに語っている。
877 かの聖者は、『これらの偏見はこだわりがある』と知って、諸々のこだわりを熟考し、知った上で、解脱(げだつ)せる人は論争におもむかない。思慮ある賢者は種々なる変化的生存を受けることがない。」
「この世において或る賢者と称する者たちは、人間的思考の運動(正⇔誤)による反応の仕方で『霊の最上の清浄の境地はこれだけのものである』と語る。さらにかれらのうちの或る人々は人間的思考の運動(誕生⇔断滅)の考えを説き、精神も肉体も残りなく消滅することのうちに最上の清浄の境地があると巧(たく)みに語っている。かの聖者は、『これらの人間的思考の運動はこだわりがある』と知って、諸々の人間的思考の反応の仕方を熟考し、知った上で、解脱(げだつ)せる人は論争におもむかない。人間的思考の運動を制し、中道を歩む賢者は種々なる変化的生存を受けず、この無常の世に生まれることなく解脱するのである。