766 欲望をかなえたいと望んでいる人が、もしもうまくいくならば、かれは実に人間の欲するものを得て、心に喜ぶ。
欲望とは、人間的思考の運動(好き⇔嫌い)によって生じます。この時、自らの欲するもの、すなわち、好きなものを得られると、感情に作用し、喜びが立ち上がってしまいます。これを心の作用に照らし合わせると、分別→感受→感情、と言う流れとなるのです。人間は、一瞬のうちに目の前に現れた現象を分別し、それを受け取り、感情が動きます。この感情が動く事を、激流と呼ぶのです。喜怒の感情による運動が、自らの苦楽を作るのですから、まずは、分別しようとする人間的思考の運動を制して、喜びを受け取ることをやめて、それを捨て去って、感情が運動することなく保つのです。その状態を維持できれば、心は安穏に至るでしょう。何故、喜びを手放す必要があるのか?それは、人間的思考の運動による喜びは、運動をするのですから、必ず苦しみへと変化します。故に、喜びを手放すということは、同時に苦しみを手放す事と同等となるのです。仏道修行の基本は、常に苦集滅道ですね。
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