831 たとえば王に養われてきた勇士が、相手の勇士を求めて、喚声(かんせい)を挙げて進んでいくようなものである。勇士よ。かの(汝に、ふさわしい、真理に達した人の)いるところに到(いた)れ。相手として戦うべきものは、あらかじめ存在しないのである。
たとえば王に雇われた勇士が、歓声を求めて次々に戦いを起こし、自らの心の高ぶりと共に雄叫びをあげて進み、また次の戦いを求める。かれの脳裡には激しい激流が渦巻く。そしてその歓喜によって束縛され、次の戦いを求めるのである。かれには心安まる場所はない。誰かに勝つことによって、誰かを負かすことによっては、清浄を得ることはできない。誰かに戦いを挑んだ時点で、かれは煩悩の激流に巻き込まれたのである。戦いを挑まれても、打ち負かそうと思ってはならぬ。打ち負かしたところで、清浄に近づくことはないのである。修行者は、自らの心に注視せよ。常に気をつけるのだ。常に気をつけてその心は水辺から飛ぶ鳥があとを濁さないごとくなにものをも立ち上がらないようにせよ。
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